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フィンの選び方
ショートボード編
サーフィンではサーフボード の他に サーフィンを楽しくしてくれる多くの道具が存在します。
その道具において、非常に重要な役割を担っているアイテムの1つが " フィン " です。
サーフィンを楽しむ上で、サーフボードの次に " 楽しさ " というものに直結してくるであろうアイテムです。
フィンってそもそもなんなの? という方もいらっしゃると思いますが、サーフボード におけるフィンというのは、船でいうところの "舵" の役割を果たしてくれるものです。
サーフボードもいわば船と同じで、舵がなければ方向転換をすることもままなりません。
ごく稀にフィンなしでサーフィンを楽しむプロ達の動画があったりしますが、世界のトッププロですらフィン がないとターンやリップアクションが安定しません。
それくらい重要な役割を担っているのです。
ただ、一重にフィンと言っても、1本のサーフボードに対して1本から5本までのセッティングが存在し、フィンの本数によってサーフィンのフィーリングは全くと言って良いほど変わってきます。
※ターンのしやすさや、リップアクションのしやすさなどなど・・・
さらには、同じトライフィン(3フィン)でも ブランドをはじめとして 大きさ・形状・素材 と多岐にわたるラインナップが存在しているので、初心者はもちろんのこと中〜上級者の方でもフィン選びに悩まれる方は多くいらっしゃいます。
・自分のレベルにあったフィン は?
・自分の体型にあったフィン は?
・好みのサーフスタイルに合うフィン は?
・このコンディションの時にはどんなフィンがいい?
当コラムでは、ショートボードの場合のフィン選びについて、上記のようなお悩みを持ったお客様にフィンを選んで頂きやすいように、フィンの形状や素材による特徴などを主に取り上げ、フィン選びの目安として頂けるように解説していきたいと思います!
初級者の方から中〜上級者の方まで幅広い層に向けて解説していきますので、フィン選びの目安となるポイントを下記の項目ごとに分けております!
気になる項目をクリックして頂ければ、その項目までジャンプできますので、ぜひご活用ください。
全くわからないよ〜 という方は上から順にご覧ください☆
ここは絶対に見栄を張らずに正直に!! 笑
またはどんなサーフィンがしたいか?
STEP1.フィンボックス(フィンプラグ)の種類を知ろう
フィンボックス (フィンプラグ) とは、フィンをサーフボード に固定してくれる重要なパーツです。
フィンの歴史をごく簡単に説明しますと、サーフィンにおいてフィン は非常に重要な役割を担うと前述していますが、現代でこそ多岐にわたる種類のフィン が存在していますが、一昔前まではフィンの種類も多くはもちろんプラグの種類さえ存在せず、オンフィン(サーフボードにフィン が予め固定されている)のサーフボードしかありませんでした。
そんな中、ある男たちはこう考えるわけです。
" これ、波のコンディションとかボードによってフィンを付け替えられたら、もっとサーフィンの幅が広がるんじゃない? "
それを思いつき、現代にまで続く取り外し式の "フィン" というマーケットを確立したのが、ほかでもない "FCS" なんです。
その後、後を追って開発され誕生したのが "FUTURES."。
現在ではこの2ブランドがフィンマーケットを先導し、サーフィンに革新と楽しさを与え続けてくれています。
2020年現在のサーフボードでは、基本的には下記の2種類のフィンブランドのどちらかのプラグが埋め込まれています。
フィンのブランドだけでいうとFCSとFUTURES.の他にも非常に多くのフィンブランドが存在しています。
当店で 取り扱いのあるものだけでも CAPTAIN FIN 、3D FIN、SHAPERS FIN などなどありますが、どのブランドも基本的には ベース (プラグにセットする部分) タイプは FCS か FUTURES. か、どちらかの形状になっています。
プラグの種類はこの2ブランドが主流となっているので、他のフィンブランド達もそのプラグスタイルに合わせてマーケットを展開しているというわけですね。
ですので まずは、自分の持っているサーフボード (もしくは購入予定のボード) がどちらのフィンプラグになっているかの確認から行うようにしましょう。
Point
基本的には FCSとFUTURES. の2種類のプラグタイプがあると説明していますが、さらに細かく分類すると3種類となります。
え??どういうこと?? という感じかと思いますが、ここでその詳細を説明致します。
もともとは FCS と FUTURES. の2ブランドという事に間違いはないのです。
どちらのブランドも取り外し可能なフィンで、フィンをプラグに ネジを使って留める(固定する)。
これがどちらにも共通する仕様だったのですが・・・
2015年、FCS 社がさらに革新的なプラグシステムを開発しました。
その名も "FCS2" !!
非常にシンプルでわかりやすいネーミング。
従来までの FCS プラグと何が変わったのかというと・・・
ネジを使わずにフィンを固定する、いわゆるワンタッチ式のプラグを開発したのです。
これ、当時は本当に革新的で誰もが感動する仕様でした。
プラグ後ろ側の内部にあるオレンジのボールみたいなものが
ストッパーとなり、フィンをガッチリとロックする仕組み !!
これをよく考えたし、よく製品化できたなーと・・・
いつも感動しております。
というのも、これまでの仕様ではフィンを差し込むだけでは簡単に抜け落ちてしまうのでネジで必ず固定する必要があったのですが、この作業がなかなか煩わしい・・・。
常にフィンをセットしっぱなしなら何の問題もないのですが、例えば
・コンディションによってフィンを付け替えたりしたい時
・自分の持っていないフィンを友人に借りて試したい時
・トリップ用のケースにボードを何枚か収納したい時
などなど、フィンの付け外しにおいてネジを回して取り外す、という作業は煩わしい作業でした。
FCSの場合、フィン1本に対してネジ留めは2箇所。トライフィンの場合は 計6箇所のネジを緩めて外す、という作業でした。
(FUTURES. はフィン1本に対して1箇所。)
その労力もなく、ネジ留めなしでワンタッチでフィンを簡単に脱着できる FCS2 のプラグシステムは、瞬く間にサーファー達に受け入れられ驚くべきスピードで新たな世界基準のプラグとなりました。
というわけで、現在のプラグシステムは 正確には3種類が存在するのです。
突起が2箇所あるのが特徴です。
ネジ留め必要
幅の広い突起が2箇所あり、前方にはプラグにひっかける窪みがあります。
ネジ留め不要
プラグに挿入するベースが1本になっているのが特徴。
ネジ留め必要
革新的な FCS2 システムが驚くべき速さで世界に受け入れられていった背景があり、2020年現在のサーフボードではほとんどフィンプラグが FCS2 か FUTURES. のどちらかのシステムとなっています。
その為 冒頭の説明では2種類との説明をしておりました。
ただ現在でも、・初心者向けのボード ・ネットで多く流通しているプライベートブランドのボード には、コストを下げるために FCS(1) プラグが使用されていたり、中古市場ではまだ FCS(1) プラグのブランドボードが流通したりしているので、ご自身でボードを手に入れた際には必ず、このプラグの種類を見分けられるようにしておいて下さい!
ちなみに FCS2 のもう一つの特徴としてはネジ留めをすることもできるので、FCS(1) ベースのフィンも取り付けが可能です。
※ FCS(1) プラグに FCS2 ベースのフィン は取り付けできないのでご注意を!!
Point
ここまでは 基本的なショートボードのプラグの説明をしてきましたが、ここで番外編。
先ほど話に出ていた オンフィンや、ロングボードのボックスについてちょこっとだけ紹介します。
オンフィン
サーフボードとフィンが一体になり固定されているもの。フィンの取り外しはできません。
通常のショートボードでは近年滅多に見かけませんが、レトロフィッシュなどのツインフィンやミッドレングス(ファンボード)では現在もオンフィン仕様で作られているボードは多数存在しています。
センターボックス
主にロングボードやミッドレングス(ファンボード)などに多く見られる形状。ショートボード用のフィン よりも極端に大きいロング用のフィンがセッティング可能。ショート用のようにボックス自体に FCS・FUTURES. などのブランドはなく、基本的にどのブランドのフィンでもセッティング可能です。
フィンの知識として知っておいて損はない内容ですので、ぜひ豆知識として頭の片隅に置いておいてください!
STEP2.自分のサーフィンレベル
ここは絶対に見栄を張らずに正直に!! 笑
サーフィンに限らずの話ですが、どんなスポーツにも自身のレベルというものは必ず存在します。
サーフィンにおいてわかりやすくいうなら、まだ始めたばかりの 初心者 なのか、数年以上毎週 海に通い リップアクションもそつなくこなせる上級者なのか?
自身のレベルを過大評価せずに冷静に分析できることは、サーフィンライフにおいてもとても重要な項目となってきます。
サーフボード一つにおいても 上級者用の板なのか・初級者用の板なのか・初級者からステップアップした中級者用の板なのか。
それはフィンにおいても同じといえます。
この STEP2 では、NSA (日本サーフィン連盟) の定める サーフィン 検定の "級" をベースとして、それぞれのレベルを区分していきたいと思います!
初級者
・サーフィンをまだはじめたばかりの方
・テイクオフをして横に行けるくらいな方
・NSA 検定 5級〜4級 程度の技術の方
中級者
テイクオフからボトムターンができ、波質やコンディションによってはリッピングやカットバックなどをする技術を持った方
・NSA検定 4級〜3級 程度の技術の方
上級者
その日の波のコンディションに合わせてライディングが出来、自分の思い通りにボードをコントロールし、技が確実に繰り出せる方
・NSA 検定 2級〜1級 程度の技術の方
参考サイト : 一般社団法人 日本サーフィン連盟 (NSA) 公式サイト
いかがでしょうか?
今回のコラムでは技術についての説明が主たるものではないので、やや割愛して大まかなレベル分けとさせていただいておりますが、大体はこのような感じでレベル分けができると思います。
プロサーファーや、普段海で見かける超絶うまい方達のレベルを上級者とし、自身のライディングがどの程度その人たちに近いのか、またはどの程度差が開いているのか、という点も自身のレベルを見極める判断材料にすることができます。
ただ、サーファーの全人口の中でも最も割合を多く占めているのは、中級者の方達だと思います。
※ 今まで散々説明してきた私も、何を隠そう 中級者・・・!の下の方! と自分では思っておいてます。笑
ただし、この後の STEP で説明していくフィンの性能などに関しては、10数年この仕事に携わってきた知識と自負があるので、そこは信じてご覧頂ければと思います!笑
さて、それでは本題のフィン選びに参りましょう!
前述しているサーフィンレベルに沿ってお話を進めて参りますので、今一度自分のサーフィンレベルをご理解頂き、それに照らし合わせながらフィンのお勉強をしていって頂ければと思います!
STEP3.どんなスタイルのサーフィンが好きか?
かなり唐突な質問になってしまいますが・・・
皆さんはどんなスタイルのサーフィンが好きですか??
または、今使っているフィンをベースとして、今よりもっと どんな風に板を動かしたいですか??
この質問、よくわからないように聞こえる方もいるかもしれませんが、実はフィン選びにおいてはかなり重要な質問になってきます。
それに関しては、まずはフィンの構造や仕様から説明しなければなりません。
この STEP3 は、本コラムにおいて最も重要で、最も長い項目になるかと思います。 フィン選びの核心の部分です。
コラムの冒頭で私は、フィン はそもそも、船における " 舵 " と同じだと説明しました。
ボードの動きに直接的に働きかけられるパーツであり、ボードの性能をさらに引き上げてくれるものでもあります。
サーフボードでも様々な形状があり、コンディションやサーフィンスキルに合わせてその形状は非常に多岐に渡りますが、もちろん性能や特徴もそれぞれによって全く違うものとなります。
※ボードの性能に関してはまた別のコラムでご紹介できればと思います。
それはもちろん、フィンでも同じ事が言えます。
・フィンの本数
・1本1本の表面の形状
・横から見た際のフィンの角度
・正面から見た際のフィンの角度
・面積の大きさ / 高さ
その他にも 素材による違いなど、昨今では非常に細かく分類されているフィンの種類ですが、この項目においては主に フィンの形状の違いと、それによりサーフィンへもたらされる 効果 / 特徴 を解説していきたいと思います
最初の数項目は、フィンに関する豆知識として知っておいて欲しい内容も含まれていますが、この機会にぜひ知識として吸収していただけたらと思います。
ここからの説明に関しては、 FCS 社の説明をお借りして進めていき、モデルの説明は FCS2 のラインナップが各カテゴリに分けられておりわかりやすく分類してくれているので、それに沿って解説致します。
FCS2のカテゴリに照らし合わせ、FUTURES. のラインナップも少しご紹介させていただきます。
FIN SETS
- フィンの本数による違い -
フィンの本数はサーフィンのフィーリングに直接影響をもたらすものになります。
シングルフィン(1本)、ツインフィン(2本)、トライフィン/スラスター(3本)、クアッドフィン(4本)
基本的にはこの4種類のセッティングになります。
波のコンディションやサーフボードの形状に合わせて、そのサーフボードを削った(製作した)シェイパーがあらかじめ様々なコンディションやボードに合わせてフィンプラグ (フィンを挿入するプラグ) をセッティングしています。
このセッティングの違いは、サーフィンの歴史とともに進化してきた先駆者たちの研究の賜物と言えるものです。
大昔のサーファーは重たい木製のボードに安定感とコントロール性を持たせるために1本の舵をつけました。
それがシングルフィンです。
ドライブ性・ホールド性をより高めていくために、長い時間をかけて様々なサーファーやシェイパーにより改良され、洗練されていきました。
そんな中、ツインフィンが発明されます。
シングルフィンとは対をなすような性能で、ルースで流れるようなフィーリングのサーフィンを可能としつつも、しっかりとドライブしてくれるのが特徴です。
その後、現在のサーフィンに於けるスタンダードスタイルであるトライフィンが、サイモンアンダーソンというシェイパーにより開発されます。
長くサーフィンをされている方ならば1度は耳にしたことがあるかも知れません。
フィンを3本にしボードの中央に抵抗が増えたことよって、ツインフィン特有のダウンザライン(波の昇り降り)でのスピードは落ちてしまいますが、ターンの際のコントロール性がアップし、現代のアグレッシブなサーフィンスタイルを生み出しました。
最後に、ツインフィンとトライフィンそれぞれの特徴を持ち、それぞれの欠点を補うべく開発されたのが現代のクアッドフィンとなります。
現代のクアッドフィン は正確には "ネオクアッド" と呼ばれます。
フィンの歴史についてはまた、別のコラムにてそのうち紹介させていただきます。
近年よく見かける5プラグのサーフボードは、その名の通りフィンプラグが5つセッティングされています。
その日の波のコンディションや気分に合わせて、トライフィンセッティングかクアッドフィンセッティングか選べるようになっている優れものです。
一重にクアッドと言っても、リアフィン(後ろ側に位置する2本)のポジションや角度によってもたらす性能は様々ですが、今回のコラムでは割愛いたします。
シングル
ツイン
トライ/スラスター
5プラグ
今回はショートボードの中でも特にラインナップが多い トライ/スラスター と クアッドフィン(5プラグ含む) の特徴や、フィンラインナップ、選び方について説明していきます。
トライフィンの特徴
シングルフィンからクアッドフィン までのラインナップ中、最もアグレッシブでダイナミックなサーフィンができ、直進性・機動性・安定性において最もバランスがいいのがトライフィン。
今ではワールドスタンダードであるセッティングで、ブランド・モデル も一番多くのラインナップが存在することからも、あらゆるコンディションに対応できるセッティングと言えます。
センターフィンがあることにより、鋭角な縦方向へのアクションはクアッドフィンよりもトライフィンの方が優れていると言えます。
初級者〜上級者まで幅広くオススメできます。
全てのコンディションで使用可能ですが、特にショルダーがしっかり張ったオープンフェイスな波で真価を発揮します。
クアッドフィンの特徴
ツインフィンとトライフィンの間を埋めてくれるのがクアッドフィンセッティング。
センターフィンが無いことによりターンがしやすく、トライフィンよりもレールの切り返しがしやすいので、横方向へのアプローチに特に優れたセッティングと言えます。
ホレて早い波の時においていかれないように、テイクオフしてからの横へのスピードを求める時にはもちろん、波のパワーがなくどうしても横へ走りづらいマッシーなコンディションの時などに使用するのもオススメです。
デメリットとしては、センターフィンが無いことにより回転性は弱く、トライフィンのような縦方向へのアプローチに弱いです。
※リアフィン(真ん中の2本)の位置がサイドフィンに近くレール寄りにセットされているか、センターフィンに近くセットされているかでその性能や役割も変わってきます。こちらの説明ではセンターフィン寄りにセットされている "ネオクアッド" と呼ばれるクアッド セッティングについての説明となります。
FIN FOILS
- フィン内側のフォイル形状による違い -
INSIDE FOIL
・内側の表面がコンケーヴ (凹面) しています
・フォイルの内側で効率的に水量が増大します
・負荷を逃しながら リフト(持ち上げる)と ホールド(維持)を加えます
・ターン時のスピードを維持します
FLAT FOIL
・内側の表面がフラット形状(平ら)になっています
・ドライブ、ピボット、ホールドを平均的に促します
(ドライブ、ピボットに関してはこの後の項目にて説明します)
・素早い方向転換(回転性)を促します
・中級〜上級レベルのサーファーにオススメします
50/50 FOIL
・両面が左右対象になっている形状
・基本的にセンターフィンに使用されているフォイルですが、一部のクアッドリアフィンにも使用されています(4本フィンの真ん中2本)
・平均した安定性とコントロール性を促します
80/20 + 70/30 FOIL
・左右非対称な形状
・多くはクアッドリアフィンとして使用されます
・安定性とコントロール性の供給の中に、機敏なターンも可能にします
FIN CHARACTERISTICS
- フィンの持つ特徴/特性 -
FLEX
フィンの硬さ
フィンが硬いほど反発が強いのでレスポンスが良くスピードが出ます。
柔らかいほど反発が遅いのでドライブが感じられます。(ターンが伸びる)
BASE
ベース幅
ベースが広いほどドライブが感じられます。(ターンが伸びる)
狭いほどドライブは無くなりますが、ターンが軽くなります。
CANT
左右への角度
ノーズまたはテールから見て、フィンが立っているほどしっかりとしたキレのあるフィーリングとなります。
外側へ寝ているほどルーズで滑らかなフィーリングとなります。
DEPTH
フィンの高さ
フィンの高さがあるほどより深く波に刺さるためホールド感が増します。
低いほどホールド感は無くなりますがフィンの抜けが良くなります。
SWEEP
前後への角度
フィンが前方に向けて立っているほどピボット性が高くなり、フィンを軸とした急な方向転換がしやすくなります。(ピボットターン)
後方に向けて寝ているほどピボット性は無くなりますが、カービング性能に優れるので伸びのあるターンが可能になります
FIN CHOICES
- フィンの選択 -
さて、ここまでは 豆知識的な情報をお伝えさせていただきましたが、いよいよ本題です。
どんなスタイルが好きで、そのスタイルに合ったフィンはどんなモデルなのか??
前述していた通り、FCS2のモデルをベースにフィンのモデルや特徴をご紹介させていただきます。
まず、FCS2ではサーファーの好みのスタイルやレベルなどに合わせ、基本的に4つのカテゴリに分けてラインナップをリリースしています。
その基本的なカテゴリのベースとなる4つのモデルをまずは知って頂きたいと思います。
その4つのモデルいうのが、REACTOR(リアクター)、PERFORMER(パフォーマー)、ACCELERATOR(アクセルレーター)、CARVER(カーバー)というモデルです。
ESSENTIAL SERIES と呼ばれ、その名の通りFCS2のカテゴライスにおいて欠かすことのできないシリーズで、この4つはそれぞれのモデルにしっかりとした用途があります。
REACTOR
ピボットターンが好きな方はこちらのシリーズ!
・PERFORMER よりもフィンの角度が立っているのが特徴。
・立ち上がったテンプレートにより、フィンを軸とする急な方向転換を容易にします。(ピボットターン)
・ビーチブレイクやホレた波に最適。
・ロッカーが弱めのボードにマッチ。
ACCELERATOR
ボードコントロールに悩んでいる方はこれ!
・PERFORMER よりも角度がやや寝ているテンプレート。
・PERFORMER の持つバランスに加えて、ボードコントロールの性能にも優れたデザイン。初心者からのステップアップに。
・パワーがありパンチのあるコンディションに最適。
・ステップアップボードへのセットや、ハイブリッドボードにオススメ。
PERFORMER
悩んだときは、まずはこれ!とりあえずの1本に!
・クセがなく1番使い易い最もオーソドックスなテンプレート。
・初心者の方やどのフィンを使っていいか悩んでいる方は、まずはこのシリーズがオススメです。
・全てのコンディションに対応可能。
・全てのボードタイプにマッチ。
CARVER
大きく伸びのあるターンを目指す方にオススメ!
・4つの中で1番レイクした (寝ている) 形状のテンプレート。
・波のフェイスでのカービングやボトムでのホールド性に優れ、脚力のある方や体重のある方に特にオススメです。
・ポイントブレイクやフェイスの広い波に最適。
・ロッカーの強いボードタイプにマッチ。
REACTOR(リアクター) と CARVER(カーバー) はそれぞれ 切り立ったフィンと寝ているフィンとして、対極に位置するモデルとなり、PERFORMER(パフォーマー) は最もクセがないベーシックなフィンで、PERFORMER と CARVER の隙間を埋めてくれるのが ACCELERATOR (アクセルレーター) となります。
FCS2のフィン で何を選べばいいかわからないという方は、まずはこの4つのモデルの特性をそれぞれしっかりと理解し、その中から最も自分が求めているものに近いフィンをチョイスしてもらえればいいと思います。
この4つのモデルはそれぞれ FCS2フィンのカテゴライズにおいて非常に重要なモデルとなります。
その理由として、FCS2のショートボード用フィン (トライ、クアッド、5フィン) は 全て、この4つのフィンからなる FAMILY としてそれぞれのカテゴリに分けられてリリースされています。
言葉で説明してもややわかりづらいところもあると思うので下の画像をご覧ください。
上段のフィンは先ほども説明した 4種類のフィン " ESSENTIAL SERIES " (エッセンシャルシリーズ)。
中段のフィンは、WSL ランカーや WSL を退いたレジェンドサーファー達、世界のトッププロ達が開発に携わった " ATHLETE SERIES " (アスリートシリーズ)。彼らの求めるフィーリングやこだわりのグラフィックデザインが詰まったシグネーチャーシリーズです。
下段のフィンは、世界に流通する人気サーフボードブランドのシェイパー達が開発に携わった " SHAPER SERIES " (シェイパーシリーズ)。彼らの削るサーフボードにベストマッチするフィンですが、もちろんその他のサーフボードにも使用可能です。
こちらの表で見て頂くと、横と縦に分かれて線引きがされていますが、横がシリーズラインナップとなり、縦が " FAMILY " つまりカテゴリのラインナップになります。
超有名どころのフィンで言いますと、表の中段右側にある MF フィン (ミック・ファニングシグネーチャー ) は、アスリートシリーズのカーバーファミリーになります。
つまり、アスリートシリーズの中でカービングに適したモデルとなります。
さらに細かく分けるとするならば、それぞれの FAMILY ラインナップの中でもそれぞれのフィンに細かな特徴があります。
1本ずつ細かく説明しているともっと膨大な情報量になってしまうので、ある程度の目安としてわかりやすくしているのが、表の最下段にある " SLIDE VS GRIP " という項目です。
" SLIDE " と " GRIP " とは?
・ターンにおけるコントロール性能の高いフィン ほど、より GRIP するフィンと言えます。
・ターンにおいてテールリリースがし易いフィンほど、より SLIDE するフィンと言えます。
形状の類似した同じ FAMILY のフィンでも、センターフィンの大きさや ベース幅 / 高さ の違いにより SLIDE タイプか GRIP タイプかが多少変わってきます。
ターンの際の食いつきが良い方が好きか、テールリリースがしやすい方が好きか、好みのサーフィンスタイルによって、フィンを選ぶ目安にしてみてください。
CARVER FAMILY で説明すると、 最もテールリリースし易いのが AM フィン、次いで SB フィン。(SBはロング用のサイドフィンなのでこちらの表には記載がありません。)
ターンの際に最も食いつきが良いのが CARVER フィン、次いで MF フィンとなります。
JS フィン と JW フィン は CARVER FAMILY の中でもバランスの取れたモデルということになります。
基本的に 2020年 12月現在 FCS2からリリースされている トライフィン・クアッドフィン は 上記のラインナップでほぼ網羅していますので、フィンのモデルで悩んだ際にはぜひこの表をご活用頂ければと思います。
(画像内のデザインは2020年までにリリースされていたデザインです。現行モデルは画像内のデザインとは異なるモノもありますので予めご了承下さい。)
オンラインサイトでのご購入はこちらから!!
Point
ここまでは FCS2のモデルを説明してきましたが、数年前に FUTURES. のラインナップにも わかりやすくカテゴライズされたシリーズが登場しました。 その名も " LEGACY SERIES " (レガシーシリーズ)。
FCS2でいうところの PERFORMER や REACTOR の ESSENTIAL SERIES と同じような感じです。
サーファーのニーズによってフィンをチョイスしやすくなるように、FCS2を追って FUTURES. がリリースしたテンプレート達です。
ライダーが求める様々なライディングフィールに対応すべく、3つのコンセプトにカテゴライズされた " LEGACY " シリーズ。
" R " " F " " P " と3種類のカテゴリーに分かれたテンプレート。
R - SERIES
Rシリーズは RAKE (レイク) の R を意味し、後方に向けて長く伸びたフィンのレイクアングルが特徴的なアウトラインを持ち、ベース幅も広くなっています。
それにより、ホールド感とドライブ性を重視し 大きなアーク (弧) を描くターンを求めるライダーに適しています。
FCS2 のモデルに置き換えると CARVER 系となります。
F - SERIES
Fシリーズは FUTURES. ブランドの中で最もベーシックで、長年に渡り支持を得ているテンプレートです。
オーソドックスなアウトラインは、あらゆるコンディション・サーフボード ・ライダーに対して、バランスに優れたフィーリングを提供します。
FCS2 のモデルに置き換えると PERFORMER 系となります。
P - SERIES
Pシリーズは PIVOT (ピボット) の P を意味し、緩やかで立ち気味のレイクアングルをコンセプトにしています。
その効果から、ルースな感覚と回転性が高められ、クイックでタイトなターンを好むライダーにマッチします。
FCS2 のモデルに置き換えると REACTOR 系となります。
この3つは FUTURES. FIN における新たなカテゴライズフィンとして、今後も様々な素材や改良したモデルが発売されてくるのではないでしょうか。
また、現状で FUTURES. FIN においてラインナップされている AM や PYZEL など、シェイパー達が考案したテンプレートに関しては FCS2 の同名モデルとはほぼ同じものと考えて頂いて大丈夫です。
(モデルにより異なるモノもあります)
STEP4.素材による違い
さて、STEP3 では ご自身の 好みやレベルに合った フィンの形状やモデルについて説明してきましたが、次に気になるのはフィンの素材です。
現在のフィンマーケットにおいては、主に FCS と FUTURES. が先頭に立ち 非常に多くの素材がリリースされています。
元よりフィンに関しては オンフィン (ボードとフィンがくっついているもの) からスタートしており、その素材に関してはグラスでラミネートされたウッド/バンブー(木製や竹製) や グラスのオンフィンしかありませんでしたが、取り外し式のフィンが登場したことによりフィンの素材という可能性は無限に広がっていきました。
プラスチックのような軽さと柔らかさを持った コンポジットフィン、内部に超軽量のコアフォームを搭載した PC - Performance Core ( RTM HEX ) や カーボン素材の物などなど、現在ではかなり多くの素材でフィンは開発され続けています。
2020年に満を持してリリースされた最新素材、最新製法で作られた FCS2の H4 フィンはサーファー達も非常に関心を寄せたアイテムでした。
そんな多岐にわたるフィンの素材について、STEP4 では説明していきたいと思います。
STEP3 同様、FCS2がリリースしている代表的な6種類の素材をベースに解説をしていきたいと思います。
(上記に出てきている 最新の H4フィンの素材に関しては、そのフィンでしか使われていない素材と製法なので今回は割愛いたします。)
FIN CONSTRUCTION - FLEX & RESPONSE
- フィンの素材による違い -
PERFORMANCE GLASS
- PG -
FCS2 のラインナップ上最も硬さのある素材。
フィーリングはグラスオンフィンに最も近しい素材と言えます。
FUTURES. で言うと FIBER GLASS や CONTROL シリーズがこれに近いものとなります。
NEO CARBON
- NC -
2019年よりリリースされた新素材 ネオカーボンは、超軽量でしっかりとしたフレックス性を持つのが特徴です。
2020年現在では MF の L サイズでしか使用されていませんが、今後ラインナップが増えてくるかもしれない注目の素材です。
FUTURES. で言うと ALPHA シリーズがこれに近いものとなります。
PERFORMANCE CORE CARBON
- PCC -
軽量素材である PC とカーボンを組み合わせた、軽量で硬さのあるハイグレード素材です。
FCS2のラインナップでは PG に次ぐ硬さです。
FUTURES. で言うと TECH FLEX シリーズがこれに近いものとなります。
NEO GLASS
- NG -
NEO GLASS はコンポジットフィンに近いものがありますが、グラスの配合率を高くすることによりコンポジットよりもやや硬いフレックスながら、低価格なスタンダード素材として非常に人気の高い素材です。
フィンに悩んでいるがまずはなるべく出費を抑えたいという方は、ひとまずこの素材のモデルからスタートするのがオススメです。
PERFORMANCE CORE
- PC -
現在ではワールドスタンダードとなっている軽量素材パフォーマンスコア。
軽量さと適度なフレックス性から世界中で好まれ、最もモデルのラインナップが多い素材です。
2019年よりリリースされている Aircore もこの PC とフレックス性は変わらずに、PC よりもさらに軽い素材として注目されています。
FUTURES. で言うと RTM/HEX シリーズがこれに近いものとなります。
GLASS FLEX
- GF -
古くはコンポジットフィンと呼ばれていた、プラスチックに近いようなフレックスを持つ素材で、FCSのラインナップでは2番目の柔らかさとなります。
全てが機械による精密なモールド工法で、低価格なのが最大の魅力かもしれません。
何かと出費が嵩みがちな初心者の方の最初の1本にオススメできます。
(1番柔らかいものは初心者や子供向けの SOFT FLEX というものがありますが、今回は割愛します。)
FUTURES. で言うと THERMO TECH シリーズがこれに近いものとなります。
この6種類の素材それぞれの硬さの特徴を踏まえた上で、硬さ=フレックス性 と考え順番に並べてみると下記のようなグラフになります。
一番右が最も硬く、一番左が最も柔らかい素材です。
こちらの表はフィンの硬度と、それがもたらすレスポンス (反発性=元の形状に戻ろうとする力) の関係を表すグラフとなります。
素材によるフィンの硬さというのは、サーフィンをする上でターンやアクションの際に直接的にそのパフォーマンス性に影響してきます。
硬い素材は パワーのある波やハードな踏み込みでもその力を逃すことなくボードに伝えられ、反発も素早いので加速性にも非常に優れます。
脚力のあるサーファーや体重のあるサーファーをはじめ、スピード感がありキレのあるサーフィンを好まれる方、中級者以上にオススメです。
柔らかい素材は反発が遅い分、ターンの際にドライブ (伸びのあるターン) が感じられます。
大きく太いマニューバー を描くサーフィンを好む方をはじめ、GF や NG などは脚力に自信のないサーファー、女性やキッズ、初心者の方にもオススメです。
STEP5.サイズごとの適正体重
サーフボードにも身長や体重に合わせた適正サイズがあるのと同様、フィンにも適正サイズ/適正体重というものがあります。
FCS2 の場合、基本的なサイズレンジとしては XS、S、M、L、XL という展開となりますが、モデルによっては XL サイズでしか展開のないフィンもあります。
ですが今回はそこは一旦置いといてもらい、あくまでも各サイズにおける基本的な適正体重をお伝えします。
FCS2 の提唱する各サイズの適正体重は下記の画像の通りとなります。
この画像の通りでいくと、日本人の男性はほとんど M サイズじゃん!ってなりますよね。笑
しかしながら、"80kg までいかなくても 75kg オーバーなら LでもOK" というのが FCS の見解となります。
フィンというものは "これが100%正解" というのが必ずしもあるわけではないので、あくまでサーファーそれぞれの好みに合わせてチョイスしてもらうのがベストではあるので、このサイズごとの適正体重というのはフィン選びのある程度の目安として考えていただければ結構です。
キッズや女性の方は XS〜S サイズ、男性の方で M サイズ、大柄だったり体重のある男性で L サイズを選んでもらえれば基本的には大丈夫だと思います。
そして、適正体重をベースとして、好みのサーフィンスタイルに合わせてのサイズ選びも一つの面白さではあります。
STEP3 でも触れていますが、フィンの大きさや形状によってサーフィンのフィーリングは変わってきます。
同じモデルでもサイズが変われば当然高さや幅、面積も変わってくるので乗り味は多少変わってきます。
適正体重は M だけど、テイクオフからの横っぱしりをもうちょっと早くしたいなと思えば、抵抗の少なくなる S サイズを選んでみたり。
逆に ターンの際のドライブをもう少し感じたいなら 抵抗が増えてターンが伸びるように L サイズを選んでみたり。
この際に一つ注意して欲しいのは、適正体重とは異なるサイズを選ぶ場合は 素材選びには気をつけてください!
どういうことかというと・・・
例えば普段 Mサイズ の PC に乗っている人が "もっとドライブを効かせたいから同じ PCC の L サイズ にしてみよう" ということになると、ただでさえ大きめのフィンを選んだのに素材まで硬くしてしまうと、全くフィンをしならせることができない!という状況に陥ってしまう可能性が非常に高いです。
なので、普段のサイズよりも大きくしようと思っている方は、普段使っているフィンの素材よりも柔らかいものを選んでみていただければ、操作に関してそこまでのギャップを感じることなく乗りこなせるのではないかなと思います。
せめて同じ素材のフィンを選んでいただき、硬くするというチョイスはしないようにして頂ければと思います。
ただ、この辺はあくまでも 中〜上級者の悩みになってくるとは思うので、初心者の方であればまずは体重に合わせてサイズを決めていくのがいいのではないかなと思います。
FUTURES. の場合、S や M での表記ではないモデルもあります。
例えば FUTURES. を代表するテンプレートの F シリーズは、数字でサイズが表されています。
F2 = キッズ、F3 = XS 、F4 = S、F6 = M、F8 = L
わかりやすく表記するならばこんな感じになりますので、FUTURES. で検討されている方は参考にしてみてください。
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか?
サーフィンの道具の中でもサーフボードに次いで非常に奥が深い道具であるフィン。
多くのフィンがリリースされている中、ご自身に100%ぴったり合うフィンを見つけるというのはなかなか難しいです。
ただ、サーフィンが上手くなりたい、思い通りのサーフィンをしたい、楽しくサーフィンがしたい、人それぞれサーフィンに対する思いというのは違って当然で、その時々によって変化していくのも当然です。
その変化に合わせて フィンを変えてみたり、好みのフィーリングを模索してみたりして色んな方向性から楽しめるのもまた、サーフィンの大きな魅力の一つだと思います。
今回のこのコラムを熟読していただき、フィン選びをもっと楽しく、サーフィンをもっと楽しくしていっていただければ幸いです!!
いずれ、サーフィンの歴史や、サーフボード、フィン、ウエットスーツの歴史などなど、サーフィンに関する豆知識的なコラムも掲載していこうと思っているので、お楽しみに☆
- Yukihiro "TE2" Takahashi -